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日別アーカイブ: 2025年11月25日

第28回林業雑学講座

皆さんこんにちは!

株式会社晋林業、更新担当の中西です。

📏 木材等級/JAS/乾燥:品質を“値段”に変える 🔥🌲

 

 

 

同じ木でも——等級・含水率・寸法精度・表面品質で値段は数割変わる。
本稿では、JAS等級の基本から乾燥・狂い対策・単価UPの営業ロジックまでを体系化します。


① 等級の考え方:強度・見映え・用途 🎯

区分 内容 主な用途
目視等級 節・割れ・曲がり・年輪幅などを外観で判定 造作・内装・意匠向け
機械等級(E等級) ヤング係数(E値)で強度を評価 構造用集成材・梁・柱など
  • 構造材:強度・含水率・寸法安定性を重視

  • 内装材:色味・木目・節の表情・表面仕上げが決め手

💡「強度で選ぶ構造材」「表情で選ぶ内装材」——評価軸を分けて設計・提案する。


② 乾燥:含水率が“寸法精度と不具合率”を決める 💧➡️📐

区分 内容 特徴・留意点
AD(天然乾燥) 風乾で自然乾燥 コスト低/風合い良/バラツキ大/時間長
KD(人工乾燥) 短期間で狙いの含水率に乾燥 寸法安定/内部割れ管理が鍵
SD(表面・低温乾燥) 低温で水分除去 色・香りを活かす内装用途に◎
  • 構造材の含水率目安:15%前後

  • 内装材の含水率目安:10〜12%

  • 気候帯・施工時期により再吸湿を想定し、**再湿平衡値(EMC)**を考慮。

📍 含水率は「不具合率の逆数」。数%のズレが数万円のクレームを生む。


③ 歩留まりと外観:等級を“設計する” ✨

  • 材取り設計
     丸太の取り方(芯持ち/芯去り・柾目/板目)で節や割れ位置が決まる。

  • 表面加工
     超仕上・プレーナー・サンディング・面取りで**単価+3〜5%**も可。

  • 色合わせ
     ロット内の色差ΔE測定でムラを防止→返品率低下。

🌈 「見映えを設計する」ことで、品質もクレーム率も同時改善。


④ 寸法と狂い:納品後トラブルゼロへ 🧰

  • 寸法許容差を製品仕様書に明記(例:±1mmなど)

  • 納入前にゲージで全数チェック

  • 狂い(反り・ねじれ・曲がり)対策
     乾燥プロファイル+桟積み設計+出荷時の梱包圧で抑制

  • 端割れ防止:エンドシール・端面テープでコスト数十円→クレーム激減

⚙️ 寸法と端部品質の管理は、“ブランド差”を作る最初の一歩。


⑤ JAS表示とロット管理 🏷️

  • 表示項目
     等級/含水率区分/寸法/樹種/生産者番号

  • ロット管理
     出荷書・ラベル・写真台帳・試験記録を1ロット単位で紐付け

  • トレーサビリティ
     現場から施工現場までQRコード管理で追跡可能に

🔍 「1本の木の履歴を追える」会社は、輸出・公共調達で評価が跳ね上がる。


⑥ 単価を上げる“提案営業” 🗣️

  • 設計者・施工者向け
     「含水率15% vs 25%」での狂い・隙・手戻り率を数値比較。
     → “コスト差<手戻り損失”を明示し、KDや機械等級の価値を説得。

  • 施主・消費者向け
     色・手触り・香りなど感性価値を言語化+写真+サンプルで訴求。

💬 “安い木”ではなく“長持ちして美しい木”を提案できる営業が強い。


⑦ 品質保証:数値で語る 📊

管理項目 測定・基準 管理方法
含水率 ピン式/電磁式 出荷前10本抜取
強度 曲げ試験・E値 ロット試験
外観 節・割れ・色 目視+撮影
不良率KPI 不良率/返品率/納期遅延率 月次レビューで改善

📈 “感覚”から“データ”へ。品質を数字で語ることが単価アップの土台。


✅ 現場で今日からできる3つ

1️⃣ 出荷前に含水率10本抜き取りをルール化
2️⃣ **寸法ゲージ+端割れ対策(エンドシール)**を標準化
3️⃣ ロットQRコードで写真台帳・検査記録をリンク管理


🌲 まとめ:品質を「価格」と「信頼」に変える

  • 木材の価値は外観と強度だけでなく、記録と一貫性

  • 含水率・寸法・等級を可視化できる会社=選ばれる会社

  • データで品質を説明できれば、値引き交渉は減り、リピートが増える。

「木を売る」から「信頼を売る」へ。📊📦