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皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
木材の“良さ”は目に見えない。
だからこそ、第三者認証=合法・持続可能・トレーサブルを可視化することで
「信頼」をビジネス価値に変える。
本稿では FSC/PEFCの基本構造〜運用・コスト・販路拡大までを整理します。
FM(Forest Management)
森林管理の適正さを認証。
→ 施業・生物多様性・地域合意・労働安全などを審査。
CoC(Chain of Custody)
産地から製品まで、認証材が混ざらず(または按分ルールで)流通していることを証明。
→ 製材・流通・加工・販売の各段階で必要。
FSCとPEFCの違い
| 項目 | FSC | PEFC |
|——|——|——|
| 成立 | NGO主導(国際本部=ボン) | 各国相互承認ネットワーク |
| 強み | グローバルブランド・認知度 | 地域材・中小事業者対応力 |
| 使い分け | 海外・輸出・建材 | 国内・公共・林業系 |
「どちらが上」ではなく、取引先・市場特性に合わせて選定/併用が現実的。
入札・商談のパスポート
公共調達、大手デベロッパ、量販店では「認証 or 合法性証明」が最低条件化。
価格プレミアムより“継続取引”効果
棚確保・返品率減・指名入札増など、“見えない利益”が長期的に効く。
リスク低減効果
違法伐採・人権・労安・環境問題によるレピュテーションリスクを低減。
→ 「損害回避=利益確保」。
“取れる利益”より、“失わない信用”を生むのが森林認証の真価。
識別:認証材は色タグ/スタンプ/QRコードで明示。
→ 非認証材と置場を完全分離。
記録:出荷伝票・受入検収に**認証ID+数量(m³/本数)**を記載。
→ 写真台帳で証跡を保存。
棚卸:月次で認証在庫を照合。差異→原因・対策を即日記録。
教育:ラベル使用・ロゴ表示ルールを1枚シート化(写真付き)。
“ラベル貼りミス”は認証取り消しに直結。現場教育を最優先に。
| 区分 | 内容 | 回収ポイント |
|---|---|---|
| 初期費用 | 審査・マニュアル整備・教育・資材 | 補助金・団体共同取得で圧縮可能 |
| 運用費 | 棚卸・記録・年次審査・ラベル費 | 社内標準化で負荷軽減 |
| 回収方法 | 新規販路開拓・既存顧客維持・見積加点・ESG金融 | 長期的にROI>1を実現 |
“コスト”ではなく、営業投資+金融格付け強化と位置付ける。
公共調達:合法性・持続可能性証明に最も明確な手段。
企業方針:ゼロデフォレ・人権DD要件にCoC文書が流用可。
越境リスク:EU・米・豪など、輸入規制は合法証明を義務化。
→ “最初から認証”のほうが安く早い。
グローバル取引では「認証なし」は取引除外リスク。
ロゴ使用ルール
- サイズ・余白・配置に厳格基準あり。
- 誤表示=信用失墜+契約違反。
B2B資料
認証番号・対象範囲・更新日・証跡フロー図を1枚A4で営業即提示。
B2C発信
「森 → 製品 → 暮らし」のストーリーと地域性で、
“同じ木でも選ばれる理由”を訴求。
「環境配慮」ではなく、「品質と信頼を示す証拠」として伝える。
1️⃣ 認証材の置場を認証/非認証で分割(即日対応)
2️⃣ 出荷伝票に認証ID欄を追加し、写真台帳と連携
3️⃣ 営業用の1ページ説明資料(番号・範囲・更新日)を作成
FSC/PEFCはブランドではなく信用通貨。
「合法性・持続可能性・トレーサビリティ」を
証拠で語れる会社が選ばれる。
森林資源の信頼を“データ化”する仕組みを持つことが、
次世代の競争力になります。
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
安全は“コスト”ではなく 利益の前提条件。
KY/TBM、ヒヤリ・ハット、熱中症・騒音・メンタルケアまでを
チーム運用の型として定着させ、事故ゼロ+強い現場を実現します。
| 手順 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 1️⃣ | 今日の作業内容 | 地図・配置図で“見える化” |
| 2️⃣ | 危険ポイント3つ | 具体+対策セットで伝える |
| 3️⃣ | 退避・集合合図 | 緊急連絡網と避難方向を全員で確認 |
| 4️⃣ | 体調確認 | 暑熱・睡眠・薬服用などを共有 |
| 5️⃣ | 役割分担 | 「誰が・何を・いつまで」を明確化 |
朝礼の目的は「今日の安全リズム」を全員でそろえること。
KYカード=“書くこと”が目的ではない。
→ 対策が工程表に反映されたかをチェック欄で確認。
ヒヤリ・ハット報告:
目標:月10件/班(量が質を生む)
形式自由:写真・手書き・音声メモOK
表彰制度:商品券/休暇などでインセンティブ付与
⚙️ 小さな報告を積み上げるチームほど、大事故を未然防止できる。
暑熱対策:
WBGT計で測定、閾値超→休憩頻度UP
塩分タブレット・空冷ベスト支給
寒冷対策:
レイヤリング+防寒手袋+風よけ休憩所
騒音対策:
イヤマフ常用(チーム無線と両立するモデルを選ぶ)
振動対策:
チェンソー/刈払機の連続使用上限を設定
防振手袋+作業交代制
過重サインの兆候
→ 遅刻・集中力低下・ミス増=疲労シグナル
対応:早期に配置転換・作業負荷調整
1on1ミーティング:
週1回10分、リーダーが“聞く”時間
未消化の不満・疲労を可視化する場を設ける
メンタルケアは“特別”ではなく日常の点検項目。
| フェーズ | 時間 | 内容 |
|---|---|---|
| T+0〜5分 | 現場停止/二次災害防止/119・上長へ連絡 | |
| T+5〜15分 | 応急処置(気道・出血・搬送準備) | |
| T+15〜60分 | 現場保存・写真記録・関係機関連絡/SNS発信禁止 |
初動60分が再発防止の基礎データを決める。
SNS発信・個人撮影は厳禁。
2in1配置:
(例)重機+チェンソー/左官+防水
→ 欠員に強く、応急対応力が上がる
新入者ロードマップ(30-60-90日)
30日:安全基本(PPE/KY/通報)
60日:技能レベル(工具/設備操作)
90日:品質・原価・改善提案
“多能工化”は安全×効率×雇用安定を同時に高める鍵。
| KPI項目 | 目的 |
|---|---|
| 休業災害件数 | 安全指標の最重要KPI |
| ヒヤリ報告数 | 未然防止活動の量的評価 |
| TBM実施率 | 朝礼・情報共有の質を担保 |
| 教育達成率 | 人材育成と定着率に直結 |
| 欠員補完率 | 組織耐性・業務継続力の指標 |
月次レビュー:
「事故=原因 × 対策 × 再発防止」を1枚図にして全班共有。
失敗の共有速度が安全文化を育てる。
安全MVP:ヒヤリ報告・改善提案・模範行動を評価
改善提案賞:現場発アイデアを表彰
表彰頻度:四半期ごと(年4回)
→ 安全行動が“称賛される文化”を作る
安全文化=“叱る”ではなく“褒めて広げる”。
1️⃣ 朝礼で危険ポイント3つを地図にマーカーで描く
2️⃣ ヒヤリ投函箱を設置(月10件/班目標)
3️⃣ 事故時の60分行動計画をラミネートして重機に常備
安全は“守るためのコスト”ではなく、
「生産性・信頼・人の定着」を高める投資。
チームが同じ地図を見て、同じ行動パターンで動ける現場は、
事故も離職も減り、利益率が上がります。♀️♂️
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
チェンソーは最も身近で、最も事故率の高い機械。
刃の状態=生産性=安全性。
PPEから刃研ぎ・燃料・点検・伐倒・キックバック対策まで、
「事故ゼロと長寿命」を両立する現場基準をつくります。
必須装備
チャップス(または防護ズボン)
⛑️ 安全ヘルメット(遮音シールド付)
✋ 防振手袋
安全靴
ゴーグル
姿勢の基本
腰を落とし、二点支持+体幹安定
片手操作禁止!
退避方向・障害物を先に整理
原因:ガイドバー先端上部(危険域)が木材に噛む。
対策:
上方からの切り込み禁止
くさび併用で逃げ代を確保
チェンブレーキ常用
前足に重心を乗せすぎない
⚠️ キックバックは一瞬で顔面・上半身を襲う。
「刃を木に当てない角度」を体に覚えさせることが最大の防御。
作業域整理(枝払・足元整備)
狙い方向決定(風・傾き・樹冠・障害物)
退避路2本確保(45°後方)
受け口:角度45°、深さ=樹径の1/4〜1/5
追い口:ヒンジ幅1/10〜1/8、水平方向に
→ くさび併用で押し出す
「倒す前の確認に5分、倒すのは30秒」──これがプロ。
目立て角度:25°前後(チェン仕様に従う)
デプスゲージ:0.6〜0.8mm基準
深すぎ → キックバック・振動増
浅すぎ → 切れ味低下
手順:
1️⃣ 左右均等に同回数研ぐ
2️⃣ デプス調整
3️⃣ バリ落とし
4️⃣ チェン向き・テンション確認
研ぎは“力”より“角度”。研ぐ時間で会社のリスクが変わる。
燃料:2スト混合 50:1 目安
→ 長期保管で分離・劣化に注意
チェンオイル:燃料補給と同時に必ず補充
→ 枯渇=焼き付き即故障
冷却清掃:シュラウド・フィン・エアフィルタを毎日清掃
| 頻度 | 主な点検項目 |
|---|---|
| 日次 | チェンテンション/バー片減り/スプロケット摩耗/ブレーキ動作/ナット緩み |
| 週次 | バー裏返し/クラッチ清掃/スターター紐チェック |
| 月次 | 点火プラグ/燃料フィルタ/マフラーのカーボン除去 |
点検結果は「自分の名で残す」──責任が安全を生む。
張力側 → 圧縮側へ切る
順序を誤るとはさまれ・バー噛み込み事故の原因
曲がり・反り・根返りのクセを読む
応力を読める作業者=“刃を止めない人”。
| 事故 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| キックバック | 受け口浅い/追い口で先端刺さる | 受け口角度45°・深さ基準厳守+くさび準備 |
| はさまれ | 張力側を後回し | 応力読み+補助切り・くさび |
⚠️ 事故の9割は「作業手順省略」と「刃研ぎ不足」。
3段階教材構成
5分動画 × 10本(基本〜応用)
現場ドリル × 5
目立て実習(講師・先輩チェック)
対象別:新入/中堅/リーダーで内容を変える
1️⃣ 受け口・追い口寸法をヘルメット内側に貼る
2️⃣ 目立て工具を個人一式化し、管理責任を明確化
3️⃣ 退避路をテープやスプレーで可視化してから切る
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
~高性能林業機械入門:ハーベスタ/フォワーダ/プロセッサ/ヤーダの選び方 ⚙️~
“どの機械を入れるか”よりも“どの組み合わせで、どの配置で、どのタクトで回すか”。
本回は選定基準・稼働設計・原価・安全・保全を一体で解説します。
1) 代表機と得意地形
• ハーベスタ(CTL):伐倒・枝払い・測尺・玉切りを一気通貫。緩〜中傾斜、地引き中心。得意:胸高直径18〜30cmの人工林。苦手:急傾斜の長距離集材。
• フォワーダ:丸太を荷台で運搬。路網密度と路面強度が生命線。荷台容量と軸荷重のバランスが路面損傷を左右。
• プロセッサ:土場で枝払い・測尺・玉切り。ヤーダや集材機と組み合わせ、土場の処理能力=現場の上限を決める。
• スイングヤーダ/タワーヤーダ:急傾斜・谷渡り・河川沿い。設営・撤収時間を見込んだ集中的な稼働で採算化。
2) 機械選定の5条件 ✅
1. 傾斜×集材距離:15°/100mを境にヤーダ系を検討。
2. 径級分布×要求長:需要先の長さテーブルにヘッドを合わせる(例:3.0/3.65/4.0mの優先)。
3. 路網密度×路面強度:フォワーダは路面CBR、旋回半径、待避所の数で実力が決まる。
4. 人員構成:2名で回すのか3名で回すのか。交替要員の有無で稼働率が1.1〜1.3倍変動。
5. 運搬制約:機体の運搬幅・重量、法令、橋梁制限。“現場に入れない”は最大の損失。
3) タクト設計:詰まりはどこか? ⏱️
• 工程能力表:ハーベスタ(m³/h)・フォワーダ(m³/h)・土場処理(m³/h)を同一時間軸で記入。最小値=全体能力。
• WIP(仕掛かり)上限:土場の山を高さ・材長別で分け、待ち材が一定量を超えたら伐倒を止める“赤信号”を決める。
4) 原価:1時間原価と出来高で見る
• 1時間原価=減価償却+金利+保険+税+保守+燃料+人件費。見積りは出来高×単価ではなく(出来高×単価)−(稼働時間×1時間原価)で採算判定。
• 燃費:回転数一定+無駄な移動ゼロで▲8〜15%。材長の迷いは玉切り時間増→燃費悪化へ直結。
5) 安全・視界・通信
• 接近禁止帯の視覚化(フラッグ・カラーコーン)。
• 無線チャンネルのルール化(作業/搬出/緊急)。
• 死角図を朝礼で共有。重機の振り幅に立ち入らない。
6) メンテナンス:壊れる前に止める
• 毎日:油水・グリス・クローラ張り。
• 毎週:ヘッドローラ摩耗、センサー校正、ホース擦れ点検。
• 毎月:キャビン内フィルタ、油圧オイル分析。
• 予備品:ホース・カプラ・フィルタ・センサーを“現場ボックス”に常備。
7) ケース:フォワーダの“積み順革命”
• Before:径級混在で場内旋回が多く、積込1サイクル28分。
• After:ハーベスタで長さ×径級別に置場を分け、フォワーダは直線導線→1サイクル22分(▲21%)。
________________________________________
現場で今日からできる3つ ✅
1) 主要工程の1時間能力をホワイトボードに見える化。
2) ハーベスタに需要優先の長さプリセットを登録し、迷いゼロへ。
3) フォワーダの積込順マニュアルを写真付きで作る。
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
~作業道・林道:路網設計のセオリー 🛣️📐~
路網は“通すこと”が目的ではなく、“壊れないこと”と“安く運べること”が目的です。
初期費用が多少高くても、維持補修費と事故・停止損失を含めたライフサイクルコストで最小化を狙います。ここでは計画→設計→施工→維持管理まで、現場で使える指針を一気に整理します🧭。
1) 目的と指標:費用だけでなく距離と安全も 📊
• 路網密度(m/ha):集材距離を短縮し、出来高を底上げする“土台”のKPI。
• 通行等級:作業道(軽車両/小型重機)、林道(大型車両)、幹線林道(10t車)など、使う車両から逆算して断面を決める。
• 安全指標:視距・すれ違い間隔・退避ポケット間隔・法面安定度。見えない安全を図面と標識で“見える化”。
2) 計画:GIS×現地でルート案を作る 🗺️🛰️
• データ:地形図、航空写真、LiDAR、土壌図、地質図、保安林・水域・文化財レイヤー。
• 手順:起点/終点を決め、候補ルートを3案作成→高低差・横断地形・土量バランスで比較→現地踏査で湧水・崩壊地形・巨石の存在を確認。
• 判断基準:縦断勾配とカーブR、切盛土量、カルバート数で維持費の将来値を見積。短いが急勾配の案より、やや長くても安定の案が総合的に安いことが多い。
3) 設計:壊れない断面と排水を最優先 💧
• 縦断勾配:作業道で8〜12%目安、林道で6〜10%目安。長い一定勾配は避け、微妙な折れを入れて速度と排水をコントロール。
• 横断勾配(片勾配):2〜4%。水を片側へ確実に逃がす。
• 路体と路床:軟弱地はクラッシャー敷均し・転圧を丁寧に。路体が負けたら全てが負ける。
• カーブ半径:最小でも12〜15m(車種による)。見通し線を開け、ガードの設置と表示。
• 排水構造:側溝、横断溝(30〜50m毎)、カルバート口の詰まり対策に落葉止め・点検口。
4) 施工:工程と品質管理 🧰
• 土量バランス:切土→盛土の搬送距離を最小化する工程順序。雨期には切土を先行、盛土は乾燥日に集中的に。
• 締固め:ローラの走行回数を記録(写真+回数板)。“転圧したつもり”を無くす。
• 材料:クラッシャー、法面マット、植生土のう。雨前に仮撒きして浸食開始を遅らせる。
5) 維持管理:点検を“制度化”する 🔁
• 定期点検:月1回+大雨後24h以内。側溝・横断溝・法面湧水・路肩沈下をチェック。
• ドローン点検:土場〜幹線の上空写真を定点化し、崩壊の前兆を見つける。
• 台帳:補修履歴・材料・費用・写真を台帳化。次年度予算が作りやすくなる。
6) 環境・法令・合意形成 🏛️🌿
• 保安林・河川・砂防:許認可の想定カレンダーを作り、待ち時間を工程に織り込む。
• 地域合意:境界立会い、騒音・粉じん・通行時間帯の取り決め。住民説明は図と写真で具体的に。
7) 原価と補助:投資判断を言語化 💴
• 初期費用(測量・設計・施工)+維持費(年額)+停止損失(通行止め日数×出来高機会損失)で現在価値を比較。
• 補助制度の採択要件(路網密度・環境配慮・安全)が収益に直結することを社内で共有。
8) 作業道の標準化:写真が現場を守る 📸
• 標準断面図、待避所のサイズ、転回地の直径、ガード設置位置を標準図集に。施工後は完成写真を定点で撮って保全。
9) ケーススタディ:密度30→80m/haで何が変わる? 🧪
• Before:集材距離平均180m、出来高18m³/日、搬出原価7,400円/m³。
• After:集材距離平均75m、出来高26m³/日(+44%)、搬出原価6,100円/m³(▲18%)。通行止めゼロで雨天作業の代替も容易に。
________________________________________
現場で今日からできる3つ ✅
1) 既存路網の排水地図を作り、詰まりやすい横断溝に赤マーク。
2) 大雨後24h以内に簡易点検チェックリストで現場確認。
3) 次の現場に向け、候補ルート3案をGISで作って踏査する。
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
~伐採・集材・搬出:作業システム最適化 ~
現場の利益は“1本あたりの単価”だけでなく、“1時間あたりの出来高×ムダの少なさ”で決まります。
伐採→枝払い/玉切り→集材→土場(仮置き)→積込→運搬までを一つの作業システムとして最適化し、サイクルタイム短縮と品質(仕分け精度)を両立させるのが本回のテーマです。地形・樹種・径級・路網・機械・人員の“組み合わせ”を具体例で掘り下げます。
1) 現場条件の読み解き:最初の30分が利益を左右する ⏱️️
• 傾斜・地耐力:地耐力の弱い場所では履帯幅の広い機械、湿地帯はマット敷設を想定。平均傾斜15〜25°を境に地引き中心か簡易架線/スイングヤーダかの判断が変わります。
• 集材距離:集材距離は100mを超えると急激にコストが上がりがち。路網の増設・土場位置の再設計で距離短縮を最優先に。
• 径級分布:胸高直径20〜24cm中心か、24〜28cm中心かでハーベスタのヘッド設定や切断長の最適点が変化。歩留まり表を現地で更新しましょう。
• 制約条件:保安林・渓流・緩衝帯・文化財・私有地境界。“やってはいけない線”を最初に地図と現地杭で可視化し、後戻りをゼロにします。
2) 作業システムの“型”を持つ:地形×径級で選ぶ
1. CTL(カット・トゥ・レングス)型:ハーベスタ(伐倒・枝払い・測尺)→フォワーダ(集材)。地引き中心、勾配が緩く径級が中小の人工林に向く。仕分け精度が高く在庫管理と相性◎。
2. 長尺・プロセッサ+スイングヤーダ型:伐倒→集材→土場でプロセッサ処理。中〜急傾斜で集材距離が長い場合に有効。待ち時間が発生しやすいので、集材側と処理側のタクト合わせが肝。
3. ケーブル(タワーヤーダ/スカイライン)型:急傾斜・谷地形・崩壊リスク対策。設営・撤収の時間を見込んだ上で、一度にまとめて引く計画で歩留まりを確保。
4. 小規模ウインチ+簡易架線型:小面積・アクセス困難地。人員の安全動線と退避場所の設定を最優先に。
TIP:現場の“標準構成表”を用意(地形×径級×路網密度×集材距離→推奨システム)。新人配置時の判断ブレを防ぎます✨。
3) レイアウト設計:土場・導線・旋回半径を先に決める ️
• 土場:トラックの頭抜きが容易な一方通行レイアウト。旋回半径、待避所、吊荷の危険エリアを明示し、立入線をカラーコーンと看板で管理。
• 導線:伐採→集材→積込の交差ゼロを原則に。重機同士の死角を減らすため、視線が抜ける配置にこだわる。
• 雨水排除:側溝・横断排水管(カルバート)・路肩切り下げ。“水が止まる場所”は必ず壊れます。路面クラッシャーの締固め密度も記録。
4) サイクルタイムを短縮する:数式で“詰まり”を見える化
• 生産性の基本式:[出来高(m³/h)= 1サイクル材積(m³) ÷ 1サイクル時間(min)× 60 × 稼働率]
• 計測方法:30分間タイムスタディ。作業区分(伐倒/枝払い/玉切/移動/待ち/段取り/故障)で色分けし、“待ち”が20%を超えた工程から順に改善。
• 改善例:
o フォワーダの積込順を材長・径級別に固定→積込時間▲12%。
o ハーベスタの測尺テーブルに需要優先の長さプリセットを登録→玉切り迷いをゼロ。
o 無線手順(始業・中間・終業)を3フレーズで標準化→段取り替え時間▲8%。
5) 雨天・路面コンディションの判断基準 ⛈️
• 中止ライン:降雨強度10mm/h超 or 路面CBR想定値が閾値以下、視程低下、土場の車輪跡深さが15cm超→作業切替(整備・架線準備・仕分け)。
• 養生:ラバーマット・伐採枝の敷設、路面クラッシャー再転圧、横断溝の解放。復旧の手間をケチるとライフサイクルコストが跳ね上がります。
6) 品質=お金:仕分けとトレーサビリティ ️
• 長さ・等級の現場決定:需要先と共有する“許容誤差表”(±2cm/±5cmなど)を携帯し、迷いをなくす。
• タグ管理:丸太ごとに用途・等級・長さ・伐区コードを色分けタグ+QRで付与。土場での積込ミスとクレームを激減。
• 写真台帳:積込前・出荷前の定点写真を習慣化。品質クレームの【言った/言わない】を無くす。
7) 原価の見える化と見積の“攻め所”
• 機械償却・燃料・消耗品・オペ人件費・保険・運搬を1時間当たり原価で管理。
• 搬出運賃は距離別テーブルで明示し、集材距離短縮の投資(路網改善)とのトレードオフを可視化。
• 見積は“材積×単価”だけでなく、仕分け精度・納期遵守率・安全記録も価値として提示。値引きではなく価値の言語化で交渉。
8) 事故事例→対策:ゼロ災へ
• 挟まれ・巻き込まれ:立入禁止帯の“見える化”(フラッグ・カラーコーン)とリーダーの復唱確認。
• 転落・転倒:傾斜地の動線に退避ポケットを30mごとに設置。
• 通信不良:無線の死角マップを作成し、中継ポイントを設定。
9) ミニケース:どのシステムが最適?
• 条件:傾斜25°、胸高直径24cm中心、集材距離120m、路網密度60m/ha、面積6ha、水路沿いに保全帯あり。
• 比較:
o CTL型:ハーベスタ+フォワーダ。地引き中心で安全、仕分け精度◎。ただし集材距離が長くフォワーダの待ち発生。
o プロセッサ+スイングヤーダ型:設営に30〜40分/日、だが120m引き寄せでフォワーダ待ち解消。土場処理で長さ精度◎。
• 結論:ヤーダ型を採用、ただし土場2面体制(処理用と積込用を分ける)で待ち時間を更に圧縮。出来高+18%、原価▲9%を達成。
________________________________________
現場で今日からできる3つ ✅
1) 30分タイムスタディを実施し、“待ち”が多い工程を1つだけ潰す。
2) 需要先の許容誤差表をラミネートして重機に常備。
3) 土場レイアウトの手書き図を朝礼で共有し、交差ゼロを徹底。
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
~間伐の設計と実務:質で儲ける発想 ✂️~
間伐は“抜いた本数”ではなく残した木の将来価値で評価します。
光・風・根・水のバランスを設計し、将来材の単価UP×現在の出来高を同時に達成するのがプロの間伐。ここでは、選木基準→間伐様式→レイアウト→伐倒・集材→損傷最小化→下層植生→仕分け・販路→原価→安全→モニタリングまで、現場がそのまま使える型に落とします。
1) 目標設定:“光を設計する”という考え方
LAI(葉面積指数)・林冠開空率・胸高直径分布から目標光環境を決める。
密度管理:地位指数×林齢ごとの目標本数/haと**BA(本数基底面積)**で数値管理。
品質目的:枝下高、年輪幅、通直性、節の大きさ。JAS等級を意識して残す木を選ぶ。
2) 選木基準:残す木の“顔”をそろえる
幹:通直・テーパー小・傷なし。
樹冠:偏り少・光獲得良、主枝の健全。
根:土盛り・根返り・盤状根はマイナス評価。
負の選木:病虫害・曲がり・二又・被圧樹は優先伐倒。
3) 間伐様式:列状・群状・点状の使い分け
列状:機械化・集材効率◎、風害リスク△。両側残しで倒伏分散。
群状:光環境が滑らか、更新促進。作業導線の計画が重要。
点状:ピンポイントで良木を伸ばす。高価値化狙い。
強度:初期は軽度(間引き)、育林後期はやや強度で枝下高・径級を稼ぐ。
4) レイアウト:伐倒方向と導線で決まる ️
伐倒方向:集材導線と直交を基本に、残存木の樹冠むきと風向、傾斜を考慮。
土場と持ち出し:集材距離を短縮、交差ゼロ。斜面は退避ポケットを30m毎。
雨水排除:路面・作業道の排水を先に作る。水が止まる場所は壊れる。
5) 伐倒・集材:サイクルタイム短縮の要点 ⏱️
伐倒:受け口45°・深さ1/4–1/5・ヒンジ1/10–1/8、くさび常備。倒木後の枝払いは足元整理→枝の基部から。
集材:フォワーダの積込順固定(長さ×径級)で迷いをゼロに。ヤーダはターン当たり本数×距離で能力設計。
待ち時間:土場2面体制、ハーベスタ長さプリセットで玉切り迷いを無くす。
6) 損傷最小化:残す木を守る️
皮剥け:接触ポイントに養生材、重機の振り幅に立入禁止線。
根系:機械の斜め走行と急旋回禁止。雨天は養生マットで路面保護。
枝打ち:将来材は節の位置を意識。鋭角刃で枝の付け根を残さない。
7) 下層植生と更新:次の世代を仕込む
光の入れ方で広葉樹の混交を誘導。更新を邪魔するシカ対策(柵・チューブ・電気柵)。
表土保全:裸地化を避け、表層流の制御と桟積み枝で侵食抑制。
8) 仕分け・販路:間伐材で“値段を作る” ️
長さ:需要先の許容誤差表(±2/±5cm)で迷いを排除。
用途:チップ・杭・内装小径材・景観材・DIYに事前販路を紐付け。
トレーサビリティ:色タグ+QRで等級・長さ・伐区コードを紐付け、クレーム減。
9) 原価と採算:良い間伐は赤字じゃない
採算式:収入(用途別単価×材積)−(稼働×時間原価)−運搬−防護費。
改善効果:間伐後の年輪幅縮小→材質向上は、将来のJAS等級で回収。**“今の小銭+将来の大銭”**で設計。
10) 安全:ヒヤリをゼロにする文化
TBM:危険3点(挟まれ・転落・飛来)を地図で可視化。
退避:伐倒方向45°後方へ、二本の退避路。
通信:無線チャンネル固定、復唱ルール。わからない時は止まる。
11) モニタリング:数値で良し悪しを語る
測定:D級分布のシフト、BA、LAI、残存木損傷率、下層植生カバー率。
写真:定点でBefore/After、枝下高と光環境を記録。
レビュー:出来高、原価、クレーム、事故、KPIを月次で評価。
ケーススタディ:D20中心の人工林、列状強度間伐
条件:地位指数中、傾斜20°、路網密度70m/ha。
施業:列状間伐(1抜き2残し)、土場2面、ヤーダ→土場プロセッサ。
結果:出来高+22%、待ち時間▲18%、残存木損傷1.8%→0.6%、次期主伐の単価見込み+○%。
現場で今日からできる3つ ✅
許容誤差表(長さ・径級)をラミネートして重機に常備。
退避ポケットを30m毎に設定し、カラーコーンとペイントで可視化。
定点写真で光環境と枝下高を記録、台帳にリンク。
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
~森林経営計画のつくり方:収支とスケジュール 🗓️💹~
森林経営計画は“申請書”ではなく経営の設計図。現場で迷わない導線と、資金が詰まらないキャッシュフロー、そして安全と環境の前提を一枚の地図に重ねることが本質です。
本回では、(1)棚卸し→(2)路網→(3)施業スケジュール→(4)人員・機械アサイン→(5)原価と収支→(6)リスク→(7)監視KPI→(8)合意形成、までをテンプレ化します。🌲🧭
0) 目的とアウトプット 🎯
目的:①安全に稼働 ②赤字現場を作らない ③再造林率を上げる ④地域の納得を得る。
アウトプット:A4×10枚以内の計画書セット(GIS地図、スケジュール、原価表、KPI、合意書式)。長い=良いではありません。
1) リソース棚卸し:数字と位置をそろえる 🧮🗺️
林分台帳:林齢・樹種・本数密度・材積(m³/ha)・地位指数・傾斜・作業難易度。
制約レイヤー:保安林区分、河川・湿地、文化財、鳥獣保護区、急斜面、法面崩壊履歴、通信圏外域。
境界:既存杭・石標・過去の立会記録・私設境界。写真と座標で証跡化。
品質把握:胸高直径分布(D級別)、枝下高、曲がり、病害の有無。歩留まり表の初期値を作る。
TIP:棚卸しは“1回完璧”ではなく改善サイクル。現場ごとに観測→台帳更新→次の見積精度UP📈。
2) 路網計画:“通す”のではなく“壊れない”を設計 🛣️📐
目標:集材距離の平均100m以下、旋回Rと待避所で交差ゼロ導線。
設計:縦断勾配(作業道8–12%/林道6–10%)、横断勾配2–4%、カーブR≥12–15m、横断溝30–50m毎、湧水の逃げ道確保。
材料・施工:路床転圧回数記録、クラッシャー粒度、法面マット仮撒き。雨期前倒しで排水先行。
維持:大雨後24h点検、詰まりリストの定期清掃。
3) 施業スケジュール:年→月→週→日へ分解 ⏱️
10年鳥瞰:間伐→主伐→更新(植栽・下刈・防護)を流域単位で配置。**作業の“連続性”**を意識。
年間計画:雨期・雪期・狩猟期・監査時期・補助採択時期をカレンダー化。許認可の待ち時間を工程に組み込む。
月次→週次:現場の切替タイミング、機械の整備週、教育日(安全・目立て・ドローン)。
日次:TBM(朝礼)のチェック項目、退避ポケットの設定、無線チャンネル、中止基準(降雨・視程)。
4) 人員と機械のアサイン:最小の班で最大の出来高 👷♀️⚙️
標準班:ハーベスタ1+フォワーダ1+補助1(3名)/ヤーダ型は集材2+土場1など。交替要員の確保で稼働1.2倍。
レイアウト:土場2面(処理用/積込用)で待ち時間削減。交差ゼロを原則に。
保守:日次→油水・グリス・センサー、週次→ローラ・ホース、月次→油圧・フィルタ。壊れる前に止める。
5) 原価と収支:式と前提を固定する 💴
時間原価:機械償却+金利+保険+保守+燃料+人件(円/h)。
搬出原価:集材距離・傾斜・路面強度・雨天率の係数で補正。
出来高:1サイクル材積(m³)÷サイクル時間(min)×60×稼働率。
現場採算:収入(用途別単価×材積)−(稼働時間×時間原価)−運搬−再造林費−保険。赤字ラインを事前に計算。
投資採算:路網・機械のNPV/IRR。例:路網90→120m/haで原価▲○%なら投資回収○年と明示。
6) リスク管理:トリガーと代替案を併記 🛡️
自然:大雨・台風・降雪・高温。中止トリガー(mm/h・WBGT)と代替作業(整備・仕分け)。
安全:60分行動計画(停止→通報→救急→現場保存)。
市場:単価下落時の用途転換(内装材・景観・熱)。
人員:欠員時の2in1配置(重機+チェンソー)で代替。
7) モニタリング:KPIで学習する 📊
KPI:出来高、搬出原価、稼働率、待ち時間比率、納期遵守、安全指標(ヒヤリ・休業災害)、再造林率。
見える化:現場ホワイトボード+月次ダッシュボード。赤信号の定義を数値で固定。
監査:写真台帳(出荷・排水・境界杭・PPE)、認証/補助の証憑をロットで紐付け。
8) 合意形成・近隣対応 🤝
1枚説明:工程、時間帯、車両台数、土埃・騒音対策、緊急連絡先。
立会い:境界・伐倒方向・通行。ドローン斜め写真でわかる化。
クレーム対応:24h以内の初動、写真と記録で再発防止へ。
ケーススタディ:6ha急傾斜の主伐更新 🧪
条件:傾斜25°、路網密度60m/ha、集材距離120m、D24中心。
計画:ヤーダ+プロセッサ、土場2面、横断溝40m毎、待避所80m毎。
結果見込み:出来高+18%、搬出原価▲9%、納期遵守98%、再造林率100%。
現場で今日からできる3つ ✅
現場KPIボード(出来高・待ち比率・納期・安全)を作って朝礼で共有。
中止基準(降雨・WBGT・視程)を紙と無線で周知。
路網図に排水・待避・危険レイヤーを追加し、写真台帳と連携。
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
~スギヒノキ人工林の課題とチャンス ~
戦後造成のスギ・ヒノキ人工林は、資源量のピークに向かう一方で、手入れ遅れ・過密・労働力不足・搬出コスト・花粉・風倒リスクなど、多岐の課題を抱えます。しかし“課題がある=価値創造の余地が大きい”ということ。現実的な打ち手を整理します️。
1) 過密→品質停滞→単価低迷の連鎖を断つ ✂️
間伐の遅れは年輪幅・枝下高・曲がり・節に直結し、JAS等級の壁になります。計測のデジタル化(胸高直径分布の自動化、ドローン写真測量、LiDAR)で“証拠を持って”最適密度へ。歩留まり表を現場で更新し続けましょう️。
2) 路網×機械化で搬出コストを削減 ️
路網密度が低いと集材距離が伸び、コストと事故リスクが増大。路面排水・カーブ半径・待避所などの標準仕様を持ち、フォワーダやスイングヤーダと整合する線形で設計。現場の“車線幅”と“旋回”を最初に決めるのがコツです。
3) 花粉・風倒・乾燥化への適応 ️️
品種と更新様式の見直し、混交化、列状間伐、林縁の防風帯整備でリスクを分散。乾燥ストレス増大には下層植生の維持と土壌有機物の回復が効きます。被害前提の“レジリエンス設計”で、保険・備蓄・バックアップ路網も整えます️。
4) 用途開拓:構造材+内装・家具・景観へ ️
節や色を“欠点”ではなく“意匠”に変えるのが2020年代の潮流。内装パネル・什器・小規模建築・DIY材・外構・土木仮設など、径級や等級の幅広さを武器に。乾燥・仕上げ・表面加工で単価を引き上げます✨。
5) カーボン×地域通貨:価値の二重取り
伐採→利用→再造林の循環が回っていることは、クレジットや補助金、公共調達の加点で“現金化”できます。自治体・企業と連携し、地場で“木を使う”プロジェクトを継続的に生み出しましょう️。
まとめ
人工林は“改善の余白”が大きい資産です。データで密度と品質、路網で搬出、用途で単価、カーボンで外部資金。課題を“事業機会”に反転させる視点が鍵となります。
皆さんこんにちは!
株式会社晋林業、更新担当の中西です。
~森林生態のキホン:多様性・更新・水循環 🐛💧~
「木を育て売る」前に、森が“どう回っているか”を掴むことは収益にも安全にも直結します。ここでは、更新(更新様式)、種多様性、階層構造、土壌と水循環、光環境、病害虫・風倒・雪害など、現場で判断に効くエッセンスをまとめます🔍🌿。
1) 更新様式:一斉か、連続か 🌱🌤️
皆伐更新は生産性が高く、路網・機械の効率が出ます。一方、連続林相・択伐は景観・生態・災害面でのメリットがあり、観光・教育・防災の複合価値を狙えます。地位指数・土壌・傾斜・需要で“現場最適”を選ぶ姿勢が要点です🧮📍。
2) 種多様性と混交化:レジリエンスのエンジン 🌳🍁
単一樹種は管理がシンプルですが、病害・乾燥・強風に弱い面も。広葉樹の混交や針広混交林の設計は、害虫の伝播抑制や根系の多様化で倒伏リスクを分散します。景観・観光価値の向上、紅葉・花期の魅力づけも副次効果🍂📸。
3) 光環境と階層:間伐の“効かせ方” ☀️📏
林冠の切り方次第で下層植生と更新力は激変します。過密なら生長停滞、過度の開放で乾燥・侵食リスク。ドローンや簡易分光での葉面積指数(LAI)推定、地上での胸高直径分布把握を組み合わせ、“光の設計”を定量化🔦🛰️。
4) 土壌・水:作業道づくりとも直結 ⛏️💦
団粒構造の維持、表層流の制御、路面排水、堆積物管理は“土砂災害×収益”の両面で重要。現場では雨前後の踏査、湧水の筋の把握、仮排水路・路肩の点検をルーティン化。植生の回復速度も収益の時間価値に影響します🕒🌧️。
5) 摂食者・病害虫・自然撹乱 🐞🌬️❄️
ニホンジカ等の食害は更新の最大リスク。防護柵・誘引・間伐タイミングの工夫で被害の“集中”を避けます。病害虫(マツ材線虫等)や台風・湿雪被害の確率分布を理解し、保険・備品・路網バックアップを整備🧯📦。
まとめ 🧭
生態の理解は“コストをかける場所とタイミング”の判断精度を高めます。混交・階層・水の制御で、強く美しい森づくりへ。観光・教育・カーボンの複合価値も同時に狙いましょう🌟。